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  1. 例えば、人の名前をど忘れてしまったが、本当はそれを覚えていると感じる場合がある。なぜわれわれは、自分は本当は覚えているということを強く確信できるのだろう? 肝心の情報にアクセスできないでいるのに、それでも「知っている」と感じるのはどういう状態なのだろうか。

    こうした「知っている感覚」は、誰かの名前の記憶だけには限らない。たとえばグループの中で発言しようと口を開く前には、自分が何を言うかが正確にわかっているわけではないことが多いだろう。文章がどう終わるかはわからないが、話すに値することがあると思って話し始めるわけだ。『Jeopardy!』の出場者たちにしても、問題の答えがはっきりと頭に浮かぶ前に、解答ボタンを押すことができる。彼らの中にあるのはただ、自分は知っているという「感覚」だけ、そしてその感覚さえあれば十分なのだ。

    そして、こうした感覚は非常に正確であることが多い。コロンビア大学の心理学者Janet Metcalfe氏は、トリビア問題を使った実験(PDFファイル)において、答えを知っているという感覚を抱くことと、その解答者が実際に答えを知っていた問題との間に高い相関関係が認められたという研究結果を明らかにしている。

    それがどんなにすごいことか、ちょっと考えてみてほしい。メタ認知の能力を持つ脳は、ほぼ瞬時のうちに、大脳皮質に詰め込まれたあらゆる事実や誤りや瑣末なことがらについて評価を下すことができる。そしてそれが認識論的な直感(epistemic intuition)となって、われわれに解答ボタンを押すべきかどうかを教えてくれるのだ。